衆生華 in the light
2008年2月17日シナプス伝達は速い精密な伝達と遅い調節的な伝達に分けて考えることができる。感覚・運動やさまざまな高次脳機能の基礎過程は、速くて精密なシナプス伝達が担っていると考えられる。しかし、ニューロンの特性は固定したものではなく、外界や体の状況に応じて絶えず調節を受けている。脳の中にはいくつかの広汎投射系があり、主にアミン系伝達物質がニューロンに作用して活動の調節を行う。これが睡眠・覚醒、情動、意欲、注意などの基礎過程であると考えられている。これらの調節は遅い調節的なシナプス伝達によって行われ、神経調節neuromodulationとよばれる。
神経調節
ほとんどの伝達物質は調節的なシナプス伝達に関与する。アミン類は限局された神経核から脳全体に広汎に投射され、脳全体の活動を調整する。このような投射系を広汎投射系という。縫線核からのセロトニン系、青班核からのノルアドレナリン系、黒質からのドーパミン系、前脳基底部および橋からのアセチルコリン系などがある。
アセチルコリン系
中枢神経系においてアセチルコリンが重要な役割を果たしていることは疑いないが、どのような機能を果たしているのか、実はあまりよくわかっていない。学習・記憶にかかわりがあると考えられており、アセチルコリンエステラーゼの阻害薬はアルツハイマー病の治療に有効とされている。
ノルアドレナリン系
注意、覚醒、睡眠−覚醒サイクル、学習・記憶、不安、痛み、情緒、代謝などに関与しているらしい。
セロトニン系
セロトニン系は睡眠覚醒サイクルと深いかかわりがあると考えられている。ノルアドレナリン系とセロトニン系の双方が脳全体の活動レベルの制御にかかわっていると考えられる。またセロトニンは気分や情動の制御にかかわっていると考えられている。うつ病depressionの症状を改善するためにセロトニン再取込みを阻害する薬物が用いられる。セロトニン類似物質であるlysergic acid diethylamide(LSD)は統合失調症schizophreniaに類似した多彩な精神症状や幻覚症状を誘発する。セロトニンは痛覚の遮断にも関与している。
ドーパミン系
ドーパミン系として重要な部位である黒質のニューロンは大脳基底核群(被核、尾状核)に投射している。大脳基底核は運動の制御にかかわる部位であり、黒質ニューロンが変成するとパーキンソン病を発症する。ドーパミン系は報酬系・価値系にかかわりがあるとされている。また統合失調症などの精神障害とかかわりがあると考えられている。
神経伝達物質
神経伝達物質を通常の伝達物質と調節性伝達物質に分類することがある。通常の伝達物質はさらに興奮性伝達物質と抑制性伝達物質に分けられる。
グルタミン酸
もっとも主要な興奮性伝達物質。TCAサイクルの2-オキソグルタル酸からトランスアミナーゼの作用によって生成される。
アスパラギン酸
興奮性伝達物質。TCAサイクルから生成される。
γ-アミノ酪酸(GABA)
もっとも主要な抑制性伝達物質。グルタミン酸からGAD(glutamic acid decarboxylase)によって脱炭酸されて生成される。
グリシン
おもに脊髄で働く抑制性伝達物質。グルコースからセリンを経て合成される。
アミン類
調節性伝達物質という用語は生体アミン類をさすことが多い。ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンはいずれもチロシンの代謝によって生成される。セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンから生成される。
アセチルコリン
アセチルCoAとコリンからコリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の働きによって生成される。
「ニューロンの生物物理」(2003)より抜粋・改変
神経調節
ほとんどの伝達物質は調節的なシナプス伝達に関与する。アミン類は限局された神経核から脳全体に広汎に投射され、脳全体の活動を調整する。このような投射系を広汎投射系という。縫線核からのセロトニン系、青班核からのノルアドレナリン系、黒質からのドーパミン系、前脳基底部および橋からのアセチルコリン系などがある。
アセチルコリン系
中枢神経系においてアセチルコリンが重要な役割を果たしていることは疑いないが、どのような機能を果たしているのか、実はあまりよくわかっていない。学習・記憶にかかわりがあると考えられており、アセチルコリンエステラーゼの阻害薬はアルツハイマー病の治療に有効とされている。
ノルアドレナリン系
注意、覚醒、睡眠−覚醒サイクル、学習・記憶、不安、痛み、情緒、代謝などに関与しているらしい。
セロトニン系
セロトニン系は睡眠覚醒サイクルと深いかかわりがあると考えられている。ノルアドレナリン系とセロトニン系の双方が脳全体の活動レベルの制御にかかわっていると考えられる。またセロトニンは気分や情動の制御にかかわっていると考えられている。うつ病depressionの症状を改善するためにセロトニン再取込みを阻害する薬物が用いられる。セロトニン類似物質であるlysergic acid diethylamide(LSD)は統合失調症schizophreniaに類似した多彩な精神症状や幻覚症状を誘発する。セロトニンは痛覚の遮断にも関与している。
ドーパミン系
ドーパミン系として重要な部位である黒質のニューロンは大脳基底核群(被核、尾状核)に投射している。大脳基底核は運動の制御にかかわる部位であり、黒質ニューロンが変成するとパーキンソン病を発症する。ドーパミン系は報酬系・価値系にかかわりがあるとされている。また統合失調症などの精神障害とかかわりがあると考えられている。
神経伝達物質
神経伝達物質を通常の伝達物質と調節性伝達物質に分類することがある。通常の伝達物質はさらに興奮性伝達物質と抑制性伝達物質に分けられる。
グルタミン酸
もっとも主要な興奮性伝達物質。TCAサイクルの2-オキソグルタル酸からトランスアミナーゼの作用によって生成される。
アスパラギン酸
興奮性伝達物質。TCAサイクルから生成される。
γ-アミノ酪酸(GABA)
もっとも主要な抑制性伝達物質。グルタミン酸からGAD(glutamic acid decarboxylase)によって脱炭酸されて生成される。
グリシン
おもに脊髄で働く抑制性伝達物質。グルコースからセリンを経て合成される。
アミン類
調節性伝達物質という用語は生体アミン類をさすことが多い。ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンはいずれもチロシンの代謝によって生成される。セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンから生成される。
アセチルコリン
アセチルCoAとコリンからコリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の働きによって生成される。
「ニューロンの生物物理」(2003)より抜粋・改変
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