ひっさびさに苦しい。

古来より人々は素晴らしくスリリングで
常軌を逸した世界を求め、
現生活と全く異なる価値観と方法論で構成される
魅力的な体験を夢想し、
それは魔法と呼ばれ、科学へと辿り着いた。

科学は人々を裏切ったのか、人々が科学を裏切ったのか。
元々この世界に魔法など存在し得なかったのか。
魔法は物を作り、大地を作り、生命を作り、歴史を作り、
人を生み出した。
魔法から出でた人間ほど愛しいものは無く、
これほど虚構でしか存在し得ないものも無い。

それでも心挫かず現実を見据えてきた強い者達が、
結局の所、何一つの魔法も体現し得なかった。
そもそも力の法則が違う、精神の法則が違う。
出来事が違う。意志が違う。死のリアリティが違う。
だからこそ究極に魅力的だったのだ。

幸であり不幸であることに、
人間の心だけがそれを生み出すことを出来るらしい。
それは確かなのだが、
それを本人が本人にとっても出来ることなのかどうか、
それはもうじき分かるが、今はまだ分からない。

たぶん今世界がつまらないのは、
憎たらしい人間も好意的な人間も、
その心の動き方が分かってしまうからなんだろう。
それよりアホでも殺人鬼でも何でもいいから、
分からない人間の方が好きだ。
というか世間的にそういう呼び名がついてるだけで、
僕からすれば数少ない愛すべき人なんです。

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